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子宮頸がん予防ワクチンのすすめ

子宮頸がん予防ワクチンとは、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐためのワクチンです。
2013年から定期接種になりましたが、副反応への心配から接種率が大幅に下がってしまいました。
日本では今、若い女性の子宮頸がんの罹患率が増加しています。
このままではいけないと、最近は産婦人科医や小児科医の間で子宮頸がん予防ワクチン接種を勧める動きが高まっています。
今回はこのワクチンの話をしたいと思います。

1. 子宮頸がんとは?
子宮頸がんは、子宮の入り口付近(子宮頸部)にできるがんです。
日本では年間約1万人が診断され、約2,800人が亡くなっていて、近年増加傾向にあります。
特に20~40歳代の若い世代での増加が著しくなっています。
子宮頸がんになると、治療のため妊娠や出産がしにくくなったり、進行すると命を落とすこともあります。 

2. 原因は?
子宮頸がんのほとんどは、発がん性のあるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。
HPVは100種類以上あるありふれたウイルスで、性交渉でヒトからヒトにうつります。
HPVの10数種類に発がん性があり、「高リスク型」といわれています。
若い女性の子宮頸がんの80~90%は、高リスク型であるHPV16型と18型の感染が原因です。
性交渉の経験がある女性の50%~80%は、一度はHPVに感染するといわれています。
男性の感染率も同様です。
性交渉を経験する年頃になれば男女を問わず、誰でもHPVに感染します。
HPVに感染してから子宮頸がんに進行するまでの期間は、数年から数十年と考えられています。

高リスク型HPVは、子宮頸がん以外にも、外陰がん・膣がん・肛門がん・中咽頭がんの原因になります。
男性でも肛門がん・中咽頭がん・陰茎がんなどの原因になります。

3. ワクチンでの予防とは?
ウイルスでうつるがんなので、ワクチンで予防することができます。
子宮頸がんワクチンは、高リスク型であるHPV16型と18型に感染しないように免疫をつけるワクチンです。
したがってワクチンはHPVに感染する前(初めての性交渉を経験する前)の、若い世代に接種した方がよいのです。
子宮頸がん予防ワクチンで、すべての年代の子宮頸がんの65%を予防できると考えられています。
また、ワクチン接種後10年以上抗体が維持されることがわかっています。
データはまだありませんが、さらに長期間の効果があると推定されています。

4. ワクチンの種類は?
現在日本では、2種類のワクチンがあります。
ガーダシル:HPV16型と18型に加えて6型と11型に有効な4価ワクチン
(6型と11型は尖圭コンジローマといって外陰部に良性のいぼをきたすウイルスです。)
初回接種、2か月後、6か月後の3回接種します。
サーバリックス:HPV16型と18型に有効な2価ワクチン 
初回接種、1か月後、6か月後の3回接種します。
どちらのワクチンも3回接種することで、HPV16型と18型の感染を100%防ぐことができます。

現在の子宮頸がん予防ワクチンで、HPV16型と18型は予防できますが、それ以外の型は予防できません。
今海外では、高リスク型HPVの9種類の型を予防する9価のHPVワクチンが接種されるようになっています。
9価のHPVワクチンで、子宮頸がんの90%を予防できると考えられています。
日本ではやっと近々正式に承認されることになりましたが、9価のHPVワクチンが定期接種となるにはまだまだ時間がかかると思われます。
定期接種の年齢は、小学校6年生から高校1年生です。
中学3年生や高校生の方は、早めに接種開始した方がよいでしょう。
小学生や中学1、2年生の方は、9価HPVワクチンが定期接種として認可されるまで待っていてもよいかもしれません。

子宮頸がんの原因であるHPVは、パートナーの男性がHPVに感染していることで、女性にもウイルスがうつります。
男性の発がん率は低いですが、本来は男女ともにワクチンを受けて予防すべきだと考えます。
オーストラリアやアメリカなどでは男子への定期接種も開始されています。
残念ながら日本では定期接種として認められているのは女子のみです。

5. 子宮頸がんにかからないためには?
性交渉を持つ前の若い世代に、ワクチンを接種してHPVにかからないようにすること
子宮がん検診で早期発見すること
この二つが予防の柱になります。

ワクチン接種は、原因となるHPVのすべての型をカバーできるものではありません。
ワクチンと併せて、20歳を過ぎたら2年に1回は子宮頸がん検診を受けて早期発見に努めることが大切です。

6. ワクチンの副作用は?
このワクチンは筋肉注射なので、他の注射と同じように、注射部位の痛みや腫れがあります。
注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こすケースもあります。
対策として、接種直後30分程度クリニック内で安静にしていただきます。
接種の時は必ず保護者の付き添いをお願いします。

接種時の反応以外に問題となったのは、ワクチン後の慢性の痛みや運動機能の障害といった「多様な症状」です。
しかし、この症状は接種歴のない女子にも一定の割合でみられています。
医師でありジャーナリストでもある村中璃子氏の「10万個の子宮」という本に詳しく書かれています。
現在は、HPVワクチン接種後の特有な症状とはいえないとされています。

対象が思春期の女性で、痛みや恐怖に対して感受性の高い年齢であるということも、こういった副反応が表れやすい一因と考えられます。
接種を受ける本人が、HPVワクチンの効果やリスクを事前に理解し、緊張や不安を和らげておくことが大切だと思います。

7. ワクチンを受けようと思ったら
残念ながら、荒川区では接種票が送られず無料で接種できることを知らない方も多くなっています。
保健所に連絡することで、接種票を送ってもらえます。
定期接種には、小学校6年生から高校1年生までという年齢制限があります。
ワクチンの価格はとても高価で(3回で約5万円)、接種年齢を過ぎてしまうとなかなか自費で受けることができません。
親子でよく話し合って、是非このワクチンを接種することを考えてください。

    
マツムシソウ(スカビオーサ)  梅雨時に美しく咲きます。大好きな花の一つ。
昔は梅雨の季節は苦手だったけれど、植物が生き生きと育つ梅雨時、今は結構好きです。
屋上での暑くてつらい水やりからも解放されるし。(^^♪

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